2009年04月16日

外資系投資銀行(M&Aアドバイザリー)の手数料はどのくらい?

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こんばんは、メタルです。

久々に更新。
過去に、「投資銀行の給料とボーナスとは」について書きました。
では、その給料やボーナスの源泉となる収益の仕組みはどうなっているのでしょう。
そんなわけで本日は、投資銀行の報酬体系についてです。


※本記事は、ネットや書籍でも取り上げられている範囲でまとめました。したがって、どこかのファームについて言及しているわけではありませんし、内部情報も含んでいません。また、正確性よりもあくまでもざっくりとしたイメージを掴んでもらうために書いています点をご了承下さい。

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◆投資銀行全体の収益源

投資銀行全体の収益源をざっくり挙げると以下のとおりです。

・投資銀行部門・・・M&Aアドバイザリー手数料、引受け手数料

・債券、株式部門
  ・・・株や債券の売買による仲介手数料、
     自己トレーディングによる収益(デイトレみたいなもん)
     ちなみにリサーチアナリストというのは、トレーダーやセールス(営業)に
     投資情報をもたらす役割なので、直接的な収益は生んでいません。

・プリンシパル・インベストメント部門
  ・・・自社のお金で不動産や企業に投資して、収益を得る部門。
    マーチャントバンキングとも呼ばれます。
    ファンドのように他人資本ではないため、リスクが大きい案件、
    エグジット(投資回収)までのスパンが長い案件でも手がけられる。

・プライベートバンキング部門
  ・・・富裕層の資産運用を一任されて、そこから手数料をもらう。
    手数料は、預けた資産の何%で決まるので、
    最悪資産を減らしてしまっても、手数料は必ずもらえます。
    つまり投資銀行の安定的な収益源となります。
    クレディスイスやUBS、HSBCなどが得意としています。


ではその中で、投資銀行部門の収益はどうなっているのでしょうか。


◆投資銀行部門の収益

投資銀行部門の収益は、
・「M&Aアドバイザリーによる手数料」
・「引受けによる手数料」(資金調達による手数料)
に分かれます。

◆「M&Aアドバイザリーによる手数料」について

M&Aアドバイザリーによる手数料というのは、
「うちがターゲットとの交渉、企業価値評価、プレスリリース・届出書関連など一切の書類作成、各専門家(会計士や弁護士)との調整、デューデリジェンス・・などなどぜーんぶ一切ガッサイお手伝いするから、そのかわりに手数料くださいね」
という具合で貰う手数料のことです。
これは大きく3つの区分で算出します。

1、着手金
着手金は通常100〜2000万円程度。
取る案件と取らない案件があります。
一旦、アドバイザリー契約書にサインすると、
M&Aが成功せずとも着手金は戻ってきません。
金額は、M&Aの成功確率の高低などによって様々です。

2、リテイナーフィー
契約期間中に毎月支払う手数料です。
契約時に、6ヶ月で毎月300万円とか、毎月定額をもらいます。
取る案件と取らない案件があります。
ちなみに案件が成功した場合は、リテイナー分は全体の金額から控除する場合が多いです。
成功手数料が2億円だった場合、リテイナーですでに2000万円貰っているときには、
案件が無事成功して、成功手数料として貰うのは2000万円を引いた1億8000万円という意味です。

3、成功報酬
手数料の大部分を占めます。
ほとんどの会社がレーマン方式と呼ばれる、
取引金額の何%って形の成功報酬体系を採用しています。
取引金額とは、移動総資産ベースと買収価格ベースなどがあります。

あと、「成功」の定義もいろいろ決めます。
吸収買収の案件だとすれば、
基本合意の発表までなら○億円、合併完了時点でそれプラス○億円とか、そんな感じです。
「マイルストーン形式」と呼ぶ人もいます。

4、諸経費
手数料については、1〜3で終わりです。
しかし大抵は、最後の部分に「別途、諸経費はいただきます。」と書いてあって、
弁護士費用、会計士費用、交通費、通信費とかの実費は別途請求します。
要するに、バンカーが使ったタクシー代や、バイク便の費用は、客持ちになるわけですね。


◆(おまけ)レーマン方式とは

レーマン方式(Lehmann plan)とは、
取引金額に一定の割合を乗じて算出された価格を報酬として受け取る形式のことです。
もともとは、ドイツ人経営学の権威レーマン博士の学説を応用した成果配分方式らしい。

例えば、こんな感じ。
 5億円以下の部分・・・5%
 5億円超〜10億円以下の部分・・・4%
 10億円超〜50億円以下の部分・・・3%
 50億円超〜100億円以下の部分・・・2%
 100億円超の部分・・・1%

上記は、会社によっても違うし、案件によっても多少違うので、イメージとして。
これを知っていれば、新聞に出た案件でどれだけ投資銀行に手数料が落ちているかがざっくり分かると思います。

<参考URL>
東京商工会議所 http://www.tokyo-cci.or.jp/venture/manda/faq.html
M&Aコンシェルジュ http://ma-concierge.com/buy/price.html
ベネフィットM&Aセンタ− http://www.rapport.ne.jp/lcr/koukei/chair6.html
かざか証券 http://net.sec.kazaka.jp/ib/service/top.html
など。


◆「引受け手数料」(資金調達による手数料)について

ファイナンス(資金調達)の提案は、
単独で持っていくこともありますが、多くはM&A提案と絡めて持っていきます。
「このM&Aは多額の資金を必要とするから、ファイナンスしましょうよ。」って感じです。
また、○○社がどこどこに大規模工場建設!なんてのが報道されれば、
「うちで5%だけでも引き受けさせてもらえませんか」みたいな提案を持っていきます。

「引受け手数料」(資金調達による手数料)は、引受け金額の何%で決まります。

「有価証券の引受とは、有価証券の発行者若しくは所有者から当該有価証券の全部又は一部を売出しの目的を持って取得し、又は有価証券の募集若しくは売出しに際して、当該有価証券の全部若しくは一部につき、他にこれを取得する者がない場合にその残部を発行者若しくは所有者から取得することをいう(証券取引法第21条第4項)。」

つまりのところ、
引受けとは、新規株式発行による1000億円の資金調達をしたい企業があるとしたら、
まず投資銀行が970億円で買ってあげることです。
で、投資銀行は、それをマーケットで1000億円で売ります。
つまり、全部売れた場合には、30億円が投資銀行の儲けとなります。
売れ残ったら、投資銀行が損をこうむる形になります。
しかし企業としては、「引受け」があることによって、
確実に970億円の資金を手に入れられるわけです。
ちなみに「引受け」をやっていいのは、引受免許を持っている証券会社だけです。


◆では、投資銀行は資金調達で何%くらい差額を抜いてるの?

この%部分が一番気になるところですが、
保田さんの実況LIVE 企業ファイナンス入門講座では、
以下のように書かれています。

「社債であれば、調達金額の0.5%以下、転換社債なら2〜3%、
新規株式発行の場合は5%超」


イメージとしては、
IPO>公募増資>ハイブリッド債、CB>>社債
ということです。


◆そのほかの資金調達方法

M&Aにおける資金調達では、公募増資(新株を発行してマーケットで売出しすること)
、銀行借入れ、社債の発行などが一番単純な手法ですが、
「LBO」や「証券化」という手法を使った資金調達方法もあります。
ちなみに、「証券化」や「LBO」のように、
ちょっとでも工夫をしたような資金調達を、
カタカナでかっこよくストラクチャード・ファイナンスと呼びます。

こういった手法を入れることで、
何兆円ディールなどの超大型M&Aが可能になっています。
また、投資銀行としても、一見複雑なことをやっているように見せかけられるので、
手数料をボッタくれる業務となっています。

証券化・・・ググるかやる夫で学ぶサブプライム問題を読んでみて下さい。

LBO・・・レバレッジド・バイアウト。
     買収するターゲット企業自体を担保にして、銀行から融資を受ける方法。

例を挙げますと、
ソフトバンクがボーダフォンを1.7兆円で買収した案件ですかね。
vodafone.ne.jpからsofbank.ne.jpへ、大人の事情でメアド変更が生じたあの案件です。
ソフトバンクは、1.7兆円でボーダフォンを買うのに、
自分の財布から出したのは、2000億円だけです。
1.2兆円を銀行団から借金。
残りをどうしたかは、参考記事を読んで欲しい。

SB「ボーダフォンの携帯事業から生まれる収益で毎月いくらか返済するから、お金1.2兆円貸してください。2000億円を保証金に。」
銀行団「OK」
この発言が、LBOです。

SB「ついでに、万が一ボーダフォンが潰れたら、2000億円は没収でいいけど、借金はチャラという契約でいいですか?」
銀行団「OK」
この発言が、ノンリコースローンです。



◆まとめ

算定方式がどうとか、レーマン方式だとか書きましたが、
金額はファーム・案件によってまちまちです。
基本的に手数料交渉は相対での担当者ベースなので、
ファーム規定の最低手数料水準さえ下回らず、
部門ヘッドのサインさえもらえれば、いくらでもいいわけです。

基本的に、名のある投資銀行はぼったくります。

「案件の成功確率が少ないので、着手金ゼロ、リテイナー月500、成功報酬○億」なんてので契約して、大して仕事しないで、リテイナーを稼ぐようなファーム(正確にはチーム)もあります。

そんな現状や「顧客満足がモットーだから成功手数料だけしかもらいません」のような大義名分から、「着手金100、リテイナーゼロ、成功報酬○億円」なんてのが主流になり、シナジー、相性など関係なく、とにかくくっ付ける毎日。

まぁ結局は、やってよかったM&Aかどうかなんて
机上の理論だけでは分からないんですけどね。
無理やりくっつけたけど成功してるのもあるし、あれっ?てのもある。
でも、M&Aするには、机上の理論が必要。


早く帰ったのでつらつら書いていたら長くなってしまった。
文章が汚いので、のちのち修正を入れようと思います。
そんな感じで以上です。

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posted by メタル at 02:42 | 東京 ☀ | Comment(8) | TrackBack(0) | 投資銀行に入社後
この記事へのコメント
金の亡者ですね
Posted by a at 2009年04月16日 21:34
いまどき「証券取引法」を引用しているのが気になる。
ちょっとでもプロダクツかじってたら違和感あって、いくらコピペでも使わないと思うけど・・
Posted by 同業者 at 2009年04月16日 22:50
なんかブログが見れなくなったりするがどうして?
Posted by ホモ at 2009年04月17日 01:19
ほとほと存在意義を感じない職業ですね。
あなたの存在価値もね。
Posted by 存在意義 at 2009年04月21日 21:54
なんで証取法なんだろうと思って下まできたら、同じ違和感の人がいて安心した
Posted by おなじく同業者 at 2009年04月22日 00:52
なんか最近コメント減ってきたね。
そういう俺が増やしてるけどw
Posted by 落ち武者 at 2009年04月25日 00:24
いつも参考にさせていただいてます。
理系で業務について無知なので上記のような情報は嬉しいです。
いつもありがとうございます。
Posted by 学生 at 2009年04月25日 10:07
citiは手数料安い
Posted by まるまつえーてる at 2009年04月29日 12:00
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